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神仙も驚歎する瀛州十景
2012.06.19 (火) 尹龍澤 contributor@jejujapan.com

済州の景観の美しさを語る際に、 瀛州十景を逸するわけにはいくまい。古来、瀛州と瀛州山は 神仙が暮らすところだとされ、東アジアの人々が憧憬する所だった。だから、済州の別名「瀛州」と漢拏山の別名「瀛州山」はそれだけで済州のグローバル化に寄与するブランド価値を有する。したがって、瀛州十景は済州を世界に知らしめるにあたって、中国の瀟湘八景や西湖十景に劣らない重要な文化的資産である。

   
▲ 李益泰(1633~1704)の耽羅十景図から 「白鹿潭」、「山房」、「瀛谷」    出典:『朝鮮中期歷史の真実、李益泰牧使が残した記録』、国立済州博物館

瀛州十景とは、 梅溪・李漢雨,(1818~1881)が詠んだ漢詩、「瀛州十景詩」のタイトルに因んだものである。梅溪は済州の美しい景観の10か所、すなわち、城山出日、紗峰落照、瀛邱春花、正房夏瀑、橘林秋色、鹿潭晩雪、靈室奇巖、山房窟寺、山浦釣魚、古藪牧馬などを選定し、漢詩に詠んだ。

瀛州十景を分析してみると、「いつ」「どこで」「何を」といった構造がはっきりと現れる。瀛州十景には「城山(日出峯)」、「紗羅峯」、「正房瀑布」、「柑橘園」、「白鹿潭」、「靈室」、「山房山」、「山地浦」、「雇馬場」などの場所が登場するが、「朝」「夕方」「春」「夏」「秋」のような時間的要素もまた明瞭に提示されている。瀛州十景はそれぞれ四字熟語になっているが、その前の2字は特定の場所を表す固有名詞で、後に続く2字は普通名詞ないしは動名詞である。言い換えれば、梅溪が選定した瀛州十景は単に場所だけを意味するのではなく、その場所で特定の時間に繰り広げられる特定の場面をも意味するのである。

済州らしさを見事に表す景観たる瀛州十景は、これまでの済州観光において大きな役割を果たしてきた。しかし、今日では自然景観だけでは現代人の多様な自然生態的、歴史文化的、人文芸術的欲求を余すことなく満たすことはできない。これまでは、瀛州十景が観光バスやレンタカーに乗って観光地中心に観光する「点観光」に大きな寄与をしてきたのに対し、今後はオレル路や流配の路のような、休み休み歩きながら見て感じる「線観光」に寄与すべきであり、さらには、一か所に数日留まって、その場所の生態、文化、歴史などを体験する「面観光」ないしは「立体観光」への転換に寄与すべきである。

   
▲ 済州瀛州十景の一つである靈室奇巖      写真提供:済州特別自治道

そのためにはこれまで断絶し、独立したものと見なされてきた個々の瀛州十景を相互に連携させて、ストーリーテリング的要素を強化する必要がある。実は私たちが瀛州十景を論じる理由も、そこには美しい自然景観と合わせて人文的要素が込められているからなのである。それぞれの瀛州十景には歴史的、文化的、風土的要素が色濃く沁みこんでおり、それらを芸術的に昇華した詩、書、楽などの作品にもそうした様々な要素が溶け込んでいる。今や、済州の瀛州十景もグローカル(glocal)時代に合わせて、世界化する作業が必要である。

済州の自然はユネスコ自然科学分野3冠王に登録されるなど、世界的に公認された。しかし、済州の自然景観における人文的要素はいまだその域には達していない。ストーリーがない美しい自然など、ただの自然物に過ぎない。しかし、そこにストーリーを加味し、人文的要素が重ねあわされると、人々はそれを吟味する為に、もっと長期にわたって足をとどめるようになり、そこに絡まった諸種の要素とともに、その景観はさらに一層長きにわたって人々に記憶されるようになる。昔の済州人たちが済州の景観に人文学的価値を付与して瀛州十景に昇華したように、生物圏保全地域、世界自然遺産、世界ジオパークなどを通して現れる済州の自然に人文的要素を探し出し、そこに新たな意味を付与する作業が必要である。

美しい景観に劣らず美しい芸術は私たちの胸を揺さぶる。瀛州十景を謳った美しい詩と音楽と文字と絵は済州の美しさを世界に知らしめる重要な資産であるのに、それらが忘れられ、放置されたままである。したがって、瀛州十景と関連した既存の芸術作品を探し出し、広く知らしめ、さらに多くの芸術家が瀛州十景を新たな作品に昇華するため、配慮、懇請しなくてはなるまい。そして世界の人々が瀛州十景に、より一層気楽で親しく接近できるように、それらを背景にしたミュージカルや映画などの制作も考えてみるべきだろう。

済州、すなわち神仙たちが暮らしたとされる瀛州である。その以前には、済州は1万8千の神が座定した神々の故郷であり、そうした神々の物語と来歴譚が今だに生きている神話の島である。そして、歴史的に見れば、済州は周辺強国の角逐の場として痛ましい歴史を生きてきたところである。そうした点に照らしてみれば、済州は自然生態的だけでなく、人文学的にも、「環境―生態―平和」の議論が進められうる十分な与件を備えている。済州らしさを見事に描き出した瀛州十景を通して、環境―生態―平和という世界の人々の共通価値を具現し、世界の人々に感動をもたらすことができるからである。


尹龍澤(ユン・ヨンテク)
済州大学哲学科 敎授。耽羅文化硏究所 所長。済州道 西帰浦市 江汀で生まれ育った。東国大学にて哲学博士学位取得。済州島の文化・環境・平和運動に参加する傍ら、関連文献の執筆に勤しんでいる。代表的な著書として『済州島の新舊間 風俗硏究』がある。

contributor@jejujapan.com

 

耽 羅 十 景 図   拡 大 図

「白   鹿   潭」

   
 

「山     房」

   
 

「瀛     谷」 

   
 

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