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孤岩の牛馬車道でも、牛島へも、榧子林(ピジャリム)へも自転車!
済州サイクリング連載 (3)、 済州の細部と変化の発見
2012.01.11 (水) 玄善允 contributor@jejujapan.com


2回目でなんとか済州一周完走にこぎつけた僕らの済州サイクリングには、回を重ねるにつれ新たな趣向が付け加わることになった。まずは、快適な自転車道を新たに発見することである。

済州は素晴らしい道路の島である。それは観光客にとって便利なのは間違いないことなのだが、その反面、さまざまな問題を伴う。たとえば、自然環境が破壊されかねない。しかも、その経済効果と裏腹の環境破壊といった両面は往々にして現地の人々同士の対立をもたらす。それに加えて、事故の多発という問題がある。本土からの観光客の中にはフェリーで愛車を持ち込んだりレンタカーを借りて島を走り回る人が増えており、中には、済州の道路があまりにも立派で、信号も少なく車も少ないから、本土ではとうてい無理なスピードを楽しむ人も少なからずいる。ところがこの島の内陸つまり中山間地域では、道が大きな傾斜を伴っていることが多く、そうした事情を承知しないままに滅多やたらの速度アップは大事故へと至りかねない。僕らは自転車だから、そうした「神風自動車」のもたらす被害とはおおむね無縁なのだが、それでもその種の車には気を付けるに越したことはない。

   
▲ (左)牛島で乗馬体験を楽しむ子供たち    (右)牛島の灯台        写真提供 : 済州市庁

僕らはなによりもまずは一周完走を目標としているのだから、一周道路、それも海岸道路を選ぶ。それはもっぱら観光のための道路で、車も見物がてらのドライブでスピードを落としていることが多く、そもそも車の数も高が知れており、安全で快適。観光客誘致のために、済州ではそんな海岸道路が次々と新設されている。しかし、新設されたばかりのそんな道路は地図にも、そして道路にも標示されていない場合がある。そこで、僕ら一行のキャップテンB君のお出ましとなる。元土木技師のB君は随所で、地形や地図を確認したうえで「鼻」を利かせて、僕らを待たせて一人探索に向かう。その勘が外れてB君のくたびれもうけになることもあるのだが、しかし、「当たり」となると快適で変化のあるサイクリングの可能性が広がる。そんな新しいコースが済州に行くたびに開拓された。その中でも極めつけは、西帰浦近くの有名な観光地、とりわけ「大長吟」の大ヒット以来韓流ファンで大賑わいの、孤岩(ウエドルゲ)に面する断崖絶壁に沿った細い遊歩道(牛馬車道という名、昔はその名前通りに使われていたのであろう)である。もっともいくらサイクリストでも観光客が数多く散策しているところを走行するわけにはいかず、階段状のところでは自転車を抱え、平地では自転車を引きずりながら、その絶景を鑑賞し、ひと時の観光気分に浸る。しかも、そこから斜面を一気に下りると天地淵瀑布の公園に至り、さらにその先は正房瀑布方面へとアップダウンを繰り返しながら快適な走行が可能である。そのおかげで、それまで厄介だった西帰浦の中心街の雑踏からは完全に「おさらば」できるようになった。

もう一つ僕らを悩ましていた済州市内の雑踏、それを避けるコースの発見も僕らを大いに助けることになった。城山方面から済州市に向かって国立博物館前あたりに至ると、それまでの田園風景はすっかり姿を消してすっかり市街地になる。すると、車の量が増えるし、車の自転車に対する態度もすっかり変わる。市外の道路であれば、時には運転者さんたちが笑顔と軽い警笛で僕らを励ましてくれたり、大きくハンドルを切って、僕らの安全の配慮をしてくれたりする。それを見て、僕らは済州の人情に感動したりもする。ところが、街中ではその正反対、いきなり警笛を大きく鳴らして、「消えろ!」と言わんばかり。もちろん雑踏の中で「うろちょろする」自転車は車の運転手さんの神経に触るのであろう。そこで仕方なく歩道を走ろうとすると、舗石の問題もあってガタガタ道、それにまた歩行者、家や商店の前に張り出した商品棚や看板、さらにはバス停などで難儀の種はつきない。その上、僕らの一周旅行の最後の行程にあたるそのあたりに至ると、それまでの疲労の蓄積も相まって実に不快で辛い走行を余儀なくされていた。ところが国立博物館裏の沙羅峰のさらに裏手の済州港の方に下って、そこから済州の市街地の高台を左に見上げながら塔洞の埋め立て地を経由してそのまま空港へと至る道を発見してからは、すっかりその不快さから解放されることになった。これらすべては僕らの度重なる試行錯誤の成果である。

以上はいわば必要に駆られての発見なのだが、それとは別に、余裕があれば道に迷うのを覚悟の上で、漁村の細いくねくねした小道に入り込むこともある。すると、荒々しい風から身を守るために、まるで這いつくばるように寄せ集まった家々で構成された済州の漁村のディープな情緒を味わえる。普通の観光では得られない幸福である。

中でも飛びっきりの新コースが牛島一周である。城山港からフェリーに愛車を持ち込む。船上では、自転車から解放され、デッキで海風に吹かれながら、広々とした海景色を呆然と眺める。島に着くと、済州本島よりも激しい風のせいで、まるで地の果てのような荒涼とした雰囲気の中での10キロばかりの牛島一周もまた、独特な味わいがあって僕らの恒例のコースになった。こうして一周約220キロのはずが、次第にその距離が増えて、240キロを超えるまでになった。

最後に付け加わったのが、森林浴の名所である榧子林(ピジャリム)を始点とするコース。自転車共々バスで運んでもらって、深い森に挟まれた下り坂を、まるで森林浴の自転車版といったわけで、爽快に滑降する。僕らのサイクリングに付きまとってきた苦労、格闘、征服などといった肩肘張ったものとは無縁の、もっぱら楽しみのコース、一周を終えてからの「おまけのコース」である。しかし、こうしたゆとりは僕らの済州サイクリングの初発の動機とは微妙にずれている。僕ら中年老年サイクリングチームにも、モティベーションの多様化が進行し、僕らの自転車での済州巡礼も終盤を迎えていくことになる。


玄善允
1950年、済州島出身の在日朝鮮人を両親として大阪に生まれ、大阪大学及び大阪市立大学大学院にて仏語・仏文学を学び、日本の京阪神の諸大学にて仏語仏文学を講じる。フランス文学以外の著書・論文としては、在日論として『「在日」の言葉』その他があり、済州関連では「龍王宮再考―聖性を欠いた場における祈りと孤立した共同性」その他がある。済州大学校耽羅文化研究所特別研究員、大阪経済法科大学アジア研究所客員教授。

 

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