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岩場の塩田から採る済州島の塩をご存知ですか
2012.01.10 (火) 金唯正 contributor@jejujapan.com

 金唯正文化コラム 

 

   
▲ 岩場塩田での塩生産の模様  撮影 : 金唯正

人は自然から生まれ自然に戻っていくのが道理だとすれば、自然がくれた生命を守るために、その自然からの賜りものを使うのは人の智慧と言えるだろう。塩は人類が誕生して以来、人間の文明を育て、人間の生存にとって必須の食べ物の一つであった。したがって塩が経験してきた歳月は、また人間が歩んできた年月でもあるということになる。

やがて消えていく火種のような済州伝統生活文化の一つとして必ずや記憶しておくべきものがあるとしたら、それは済州伝統の岩場の塩田から採る塩である。塩と言うと、人々は決まって潮の干満差が甚だしい西海沿岸の干潟で作られる天日塩を脳裏に浮かべ、「済州の一体どこに塩田があるものか」と疑うだろう。実際、砂場が少なく黒い岩だらけの島で、「何を間違って塩などできるはずもない」と考えるのが当然である。ところが、その黒い岩の上で済州人たちが塩を生産する術を知っていたというのだから、そこには実に涙ぐましい努力の歴史があったに違いない。そのようにひどい悪条件を抱えた環境を逆利用して塩を生産する術を編みだしたのは、自然と一体化した済州人の大きな智慧と言わねばなるまい。

塩に関する我が国の記録としては、先ずは『三国遺事』に記載があり、中国の記録には『書経』に、塩を供物として初めて捧げたという記録がある。『周礼』では塩の種類についての言及があり、使臣の接待には「苦塩(塩地から出た塩の塊)」、「散塩(潮水を煮詰めて作った塩)」を用い、王の飲食物には「飴塩」を用いたと書かれている。昔から最もしばしば税金の品目だったのが、塩であった。

塩が貴いので、14世紀初めの高麗忠宣王時代に塩の専売法を布告して都塩院を設置した。塩はすべてそこに運び、地方の郡県の人々は役所に布地を収めてその代価として塩を受け取ることになった。民衆の中から塩戸を選び、塩倉を設置するようにしたところ、それが民衆の新たな苦役になったりもした。全羅道を含む6道に塩戸は892戸で、1年に塩の代価として受け取った布地は4万疋に達した。我が国で塩の専売制が廃止されたのは、ようやく1960年代になってからのことなのである。
済州での塩の生産の嚆矢は1573年姜侶牧司の時代だと考えれば、それ以前の済州の人々はどのように暮らしていたのか。既に高麗忠宣王時代に塩の管理を役所に任していたのだから、その始まりについて朝鮮時代の文献だけに頼るというわけにはいくまい。

   
▲ 最後まで岩場塩田を守る趙斗憲翁   撮影 : 金唯正
済州の伝統生活文化の中でも岩場の塩田から採る塩生産技術は実に貴重なものである。現在済州市涯月邑 旧厳里「ビルレットゥル(岩野)」の塩田を守っているのは趙斗憲翁である。現在、岩場の塩田からの塩製造法を知っている唯一の人である趙翁は既に76歳を越えている。高齢であっても青年の気概で真っ白な塩を撫でながら笑みを浮かべる趙翁の姿には、長年にわたって岩場塩田での作業に勤しみながら暮らしてきた喜怒哀楽が現れている。二つの足首には塩辛い潮水が肌に描いた模様が染み出ている。直射熱と輻射熱とで作り出す岩場塩田の生産方法は原始的だけに、最後の存亡の岐路に立っている。塩が肉化した趙翁の人生は、貴重だった岩場塩田文化がいつの日か復活することを、哀切の情をこめて待っている。
 

           コ   ラ   ム
   
 

 金  唯  正  

 ( 美術評論家 )  

 contributor@jejujapan.com
 

  

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