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高いコストパフォーマンスを備え、解放感を満喫できるオルムにようこそ!
2012.01.09 (月) 坂野慎治、金秀庭 contributor@jejujapan.com

   
▲ (左) 稜線の美しいタラビオルム   (右) ペギャギオルムののどかな牛   撮影 : 坂野慎治

極私的オルム賛歌

済州に来て8カ月余り。夫婦そろって済州で初めての新年を迎えている。済州に引っ越すことを家族や友人に伝えると、皆がそれぞれに済州への思いを語ってくれた。「済州に絵に描いたような家を建てて、自然の中で暮らすのが退職後の夢」という人が、予想以上に多かった。私たちは、そんな夢を彼らの代わりに実現して、思う存分、済州を楽しもうと考えた。

火山の噴火によって形作られた神秘的で美しい島・済州は、知れば知るほど心を打つものがある。その中でも「オルム」は、私たちを魅了してやまない。オルムとは、火山の噴火によって作られた側火山で、小さな山あるいは小高い丘のように見える。木々が生い茂ったものから土肌が見えるものまで、姿形も様々だ。頂上の噴火口が湖や湿地になっているものもある。

オルムの魅力を語りだしたらキリがないが、中でもヨンヌニオルムの頂上から済州東部の野原と数々のオルム、漢拏山と海が織り成す雄大な景色を見れば、済州を愛さずにはいられない。こうしてオルムに魅了された自称オルムジャン、オルムジェンヌとして、オルムについて考えてみた。


オルムで出会う私

韓国は2008年の世界金融・経済危機から急速に回復し、企業はグローバルに成長、韓流コンテンツも世界的に注目を集めるなど、世界における存在感が高まっている。韓国は、活気、推進力、躍動的という言葉がよく似合う。

しかし、そんな成果を生み出すための厳しい競争社会では、絶えず自分自身よりも他人を見て、前へ前へと進み続けざるを得ない。その結果なのか、出生率、離婚率、自殺率、幸福指数などを見ると、韓国の生活の質が経済成長に比例していないのではないかと心配になる。だが、だからといって、この社会を構成する一員としてはそうした流れに逆らうのは容易ではない。

   
▲ クェンムルオルムの素朴なイス   撮影: 坂野慎治
韓国社会には、様々なマスト(must)、ルール、常識、比較などが存在し、人々を疲れさせている。いくつになったら結婚すべき、それくらいの暮らしをしているなら○○ccの車に乗るべきなど、個人の価値観よりも社会的な価値観が強く反映される傾向にある、と思えてならない。

しかし、オルムは自由だ。これこそオルムの最大の魅力だろう。入場料がない。ここが撮影ポイントだというルールもない。偉大で神聖な遺産だという常識に圧倒されることもない。自分の存在の小ささを思い知らされるような比較もない。マストもルールもなく、登りたいときに登り、休みたければ休み、下りたいところで下りる。感じたことを素直に受け止め、自由に楽しめばいい。頂上に座って音楽を聞くのもよし。昼寝したって構わない。のんびりとオルムを行き交う牛や馬のように過ごせばいい。

こうして様々なマストやルールから解き放たれた瞬間、生まれたままの私に出会える。本当の自分の心と向き合うことができるだろう。


オルムで出会う自然

オルムでは素朴な済州の野花や昆虫、放牧されている牛や馬の姿に、心が安らぐ。済州ならではの墓所とそこにたたずむ童子石に、自然と一体になった文化的な価値を見出す。いくつもの噴火口が描く稜線は、女性的で柔らかく、時には官能的でもある。男性的な漢拏山とのコントラストも面白い。人の気配に驚いて逃げ出すノロジカにも出会える。ノロジカの鳴き声は、華奢な姿とは裏腹にうなり声ともいえる奇声で、クマでも出たのかと驚かされる。

オルムが私有地の場合、放牧している牛や馬が逃げないように鉄条網を張り巡らしている。雨や霧に錆びながらも強風に耐え、済州の自然に溶け込んでいる鉄条網は、無骨ではあるが純朴だ。鉄条網は放牧している牛や馬のためのものであり、訪れる人を拒んでいるわけではないので、適当な出入り口を見つけて通ればいい。そんなふうに鉄条網を通り過ぎるのは無骨かもしれないが、ルールや常識に縛られず自然体で受け入れてくれるオルムだからこそ、こちらも構えることなく、実に自然にできる。


オルムで出会うCP

日本での生活の影響か、コストパフォーマンス(CP)という価値観が常に頭の片隅にある。こうした観点で見ると、オルムは「最小の投資で最大の効果を生む」代表的なものである。入場料がなく、私有地であっても無料だ。登るのも簡単で、子供や高齢者が楽しめるところも多い。服装も重装備など必要ない。10~20分もあれば頂上を制覇でき、12時間で十分に堪能できる。

こうして簡単に登れるオルムの頂上だが、そこから一望する景色には思わず息をのむ。いつの間にこんなに高く登ってきたのかと思えるほど、麓とはまったく違ったパノラマが待っている。青い海に浮かぶ島々と水平線、澄んだ空を流れる雲、漢拏山と多くのオルムが見渡せ、まるで一幅の絵のようだ。

しかも、オルムに登るのは単なる観光ではない。ユネスコにも認められた済州の自然の中で楽しむ、上質の有酸素運動ともいえる。さらに、済州には368ものオルムがあるから、1カ月に一つずつ登るとおよそ30年かかる。魅力あふれるオルムに登る贅沢な喜びを30年間、368回も味わうことができるのだ。

これほどコストパフォーマンスの高い環境を備え、あるがままの私たちを受け入れてくれる済州のオルムに感謝したい。新年を迎えてオルムの頂上に立つ私たちは、胸の中でこう呼びかける。「今年も心のチャージをよろしくね」。

 

坂野慎治(済州大学通訳大学院教授)
金秀庭(早稲田大学MBA取得)

 

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ペギャギオルムののどかな牛   撮影 : 坂野慎治
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